少林寺拳法総本山で修行をしていた時に、同じ釜の飯を食べる同志が腰を痛めたことに始まります。少林寺拳法には積極的修行法(突いたり蹴ったり投げたり極めたり等)と、消極的修行法(座禅、作務、食養、静養等)があり、その中の教えに「整法」というものがあります。少林寺拳法を日本で創始された開祖宗道臣先生も若い頃は病弱で、中国で整法を受けたという文献があります。我々の修行のカリキュラムの中にも整法があり、正直なところ人の徒手だけで人を治すなんて出来るのか半信半疑でしたが一応は練習もしていました。
そんなある日、冒頭の出来事が起きるわけです。同志はとても困った顔で「腰を痛めてしまいました。どうしよう、明日は実技試験があるのに。。。」今でもそのシーンが鮮明です。私はそのやりきれない顔を見て「整法してみようか?」と、心の中では半信半疑ですが声を返しました。「お願いできますか?」となり、ほんの5~10分くらいでしょうか施術した後すぐにそのことは忘れていましたが、二日後にその同志が明るい笑顔で「笹岡さん!ありがとうございました!無事合格しました!」。そう言う同志に「おめでとう!!流石!腰痛どうだった?」と聞くと、「次の日治っていました!本当にありがとうございました。」。私は「嘘?え?本当に?」ということが起こり、私にとってはそのことが衝撃的過ぎて、徒手施術で人を治せるなんてあり得るのかとしばらく考えていました。その後、次は私自身がやはり大切な試験に向かう修行中に肩を痛め、色々試みましたがその痛みは消えず悩んでいたところ、ある接骨院を紹介されました。もう諦めかけていたのでそれこそ半信半疑で行ってみると、先生が一人で営んでみえる小さな接骨院でした。「ちょっと今日はこの後用事がありまして、、、」と断られそうになったのですが、「一応戻してみましょうか。。。」と、先生が私の肩を掴みグイグイと何やら動かしたと思いきや消えたのです。その痛みが。その二つの衝撃的な経験が記憶に残り、いよいよ徒手施術家を目指すことになりました。たまたま私の場合は、接骨院のある先生との出会いでしたが、治療や施術は多岐にわたりその分野で素晴らしい先生方がみえます。これからも勉強の日々が続くと思います。